・坂(2)

−谷根千は坂の町−

谷根千には、いささか不気味な名前の坂がいくつかある。
「お化け階段」「お化けだんだん」「解剖坂」「白へび坂」、「暗闇坂」も二つある。
何の根拠も無い勝手な推測なのだが、これは谷根千ゆえのことと思う。

町並みがあまり変わらないこと。人の移動が比較的少なく、ここで生まれ育った人がここで大人になること。この二つの条件がそろっているので、子供の大好きな「学校の怪談」、子供達の想像力で膨らんだ話が、大人になっても、そのまま大手を振って残り、坂の名前となっているのではないだろうか。
暗闇坂は別として、「お化け**」「解剖坂」この二つの名前を思うたびそんな気がしてならない。

お化け階段(上り)お化け階段(下り)

さて、そんな坂の代表格。お化け階段の案内
根津から弥生町へ登る「お化け階段」
地元の人でもない限りまず気が付かない細い裏道である。

上りと下りで段数が違う。数えると死ぬ。階段の石は墓石である。等々いかにも小学生の考えそうな怪談話がたくさんあるらしい。

左の映像が上り、右が下り。
数えてみますか? 

ちなみに数えた私はまだ生きてます。




千駄木の解剖坂

千駄木の日本医科大学と大学病院の裏にある坂
その名も「解剖坂
大学病院の裏の坂が解剖坂とは、どう考えても大人の発想ではない。
剪画集「谷根千百景」の石田良介さんにならって、「かいぼう坂」と書くべきなのだろう。

藪下の道から本郷台のてっぺんに上がる坂で、登りきった右手は「漱石の猫の家の跡」で碑がある。

石田さんのおっしゃるように、右手の階段部分は、踏み面がやたら広くて歩幅が取り難く、大人には本当に歩きづらい。






お化けだんだん(下り)


こちらは、千駄木の「お化けだんだん」
根津の「お化け階段」とおなじ雰囲気
千駄木の小学生が、根津の小学生に対抗して「そっちがお化け階段なら、こっちはお化けだんだんだぞ。」

え、小学生、小学生って、しつこすぎるって?





清水坂(暗闇坂)
池之端から上野桜木に上る坂
「清水坂」またの名を「暗闇坂」という。
上野動物園の真裏にあたる。

弘法大師がここを通りかかった際、水に難儀する老婆のために、独鈷で地を突いたら清水が湧いた。という言い伝えがある。
この一帯の旧町名は「谷中清水町」

映像左手の蔦に覆われた建物はかつての変電所、今は動物園の倉庫に使われているらしいが、表札も何も無くいささか不気味。

ここは江戸の中心部から谷中に抜けるかつての幹線道路らしい。
六代目円生の谷中奇聞「猫怪談」の舞台になったのはこの道だろう。

この坂の左手に円地文子さんがお住まいになっていた。